設立趣旨書

設 立 趣 旨 書

1 趣旨

 2000年に判断能力が不十分な人の財産管理を目的とした禁治産・準禁治産制度から身上監護の視点を加えた新しい成年後見制度(以下、成年後見制度)に民法等法改正が行われました。介護保険サービスや障害者福祉サービスを利用することが、措置から契約となり、利用者はサービスを選択することが必要となりました。
 しかし、例えば介護保険サービスを利用する要介護状態は、「身体上又は精神上の障害があるために、常時介護を要すると見込まれる状態」(介護保険法7条1項)であり、この要介護状態の人にとって、介護保険サービスの契約化は大きな矛盾を抱えることになります。なぜなら、事業者や施設との情報量の差から「対等な契約の問題」、対等な契約を行うための「判断能力の問題」が生じるからです。この矛盾を解決するために、判断能力が不十分な人の契約締結を支援する必要があり、ここに権利擁護としての成年後見制度の意義があります。
 これまで、私たちはこの成年後見制度において個人後見を中心に行ってきました。しかし、生活スタイルの変化にともない生活課題も複雑化、多様化、複合化しており、それ対応していくことが求められています。そのため、様々な専門職が参加し、総合的な支援を行うことが必要となります。加えて、未成年後見を支える仕組みが必要となっています。
 そこで、私たちは権利擁護の立場から援助が必要な方々の生活を守るために、成年後見制度における法人後見を行っていきます。また、この成年後見制度において市民の参加が期待されています。その活動を支える組織が必要となっているため、専門職が市民後見人を支えるような体制をとり、多くの方が参加できるような仕組みを作ります。
 最後に、現在の地域関係の希薄化は、判断能力が低下した方にとって住みにくい社会となっています。私たちの活動を通じて、多くの方が認知症や障害に対する理解を深め、判断能力がなくなっても住むことができる地域づくりを目指していきます。

平成26年3月1日

一般社団法人ぎふ権利擁護センター
代表理事 岡川 毅志